ファイナンシャルプランナー(FP)コラム

年収1000万円なら住宅ローンはいくらまで借りて大丈夫?無理のない購入予算とポイント
執筆者
住宅購入診断士
住宅FPエキスパート
2級FP技能士
お客様の為に何ができるか『全集中』!!
ゼネラルマネージャー 松井 新吾 が執筆しました。

共働きで世帯年収1000万円ともなると、一見するとマイホーム購入には十分な収入に思えます。しかし、高収入だからといって 「いくらでもローンを組んで大丈夫」 というわけではありません。収入に見合った適切な借入額を計画しないと、将来の家計負担が重くなり後悔する可能性もあります。本記事では、年収1000万円世帯の手取り収入や住宅ローンの借入可能額、金融機関が重視する返済負担率(返済比率)について解説します。また、「住宅ローンは年収の◯倍まで」は本当かといった疑問や、教育費・老後資金とのバランス、頭金やボーナス返済・金利タイプの選び方、地域による住宅価格差まで、無理のない住宅購入のためのポイントを詳しくご紹介します。年収1000万円の自分たちがどのくらいの家を買って良いのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1. 年収1000万円世帯の手取り額と毎月の生活イメージ
まず、年収1000万円の世帯が実際に使えるお金(可処分所得)を確認しておきましょう。税金や社会保険料を差し引いた手取り年収は約700~800万円程度とされ、公式データをもとに試算すると年間手取り約728万円、月換算で約61万円になります。ボーナスの有無や扶養家族の状況によって多少前後しますが、月に50~60万円前後が実際に使えるお金の目安です。
では、その手取り月収でどのような生活になるでしょうか。単身世帯で手取り60万円前後ある場合、家賃や食費など生活費を差し引いても相当な余裕があり、毎月10万円以上を貯蓄に回すことも十分可能でしょう(ライフスタイルにもよります)。一方、夫婦共働きでお子さんがいる4人家族の場合は、収入は2人分あっても教育費や食費・生活費の支出も大きいため、独身時代ほど自由に貯蓄できないケースが多くなります。特にお子さんを私立学校に通わせたり習い事をさせたりすれば毎月の出費は増え、「思ったほど貯蓄ができない」という状況になりがちです。実際、年収1000万円クラスでも住宅ローン返済を抱える家庭では、「子どもの教育費や老後資金まで手が回らず余裕がない」という声も聞かれます。高年収とはいえ家計に無限のゆとりがあるわけではない点に注意が必要です。
2. 住宅ローンの借入可能額と金融機関が重視する返済負担率
住宅ローンの借入可能額は、その世帯の年収と返済負担率によって決まります。返済負担率とは年収に占めるローン返済額の割合のことで、金融機関も審査時に重視する指標です。一般に銀行の住宅ローン審査では、返済負担率が30~35%以内に収まるかどうかが基準とされることが多く、年収1000万円の場合、年収の35%は年間350万円(=月約29万円)です。このため理論上は年間返済350万円(月約29万円)程度までなら金融機関の審査上は融資可能と判断されるケースがあります。
金額に換算すると、年収1000万円世帯が借りられる住宅ローンの上限額はおおむね 8000万円前後が一つの目安とされています。実際、民間銀行の中には1億円程度の融資枠まで認めるケースもあります。例えば、みずほ銀行では年収1200万円の場合に借入可能額が約1億円に上る試算も紹介されています(返済比率35%程度まで)。もっとも、この上限額はあくまで「銀行が貸してくれる可能性のある最大値」に過ぎません。審査では物件の担保評価や頭金の額、借入期間、申込者の年齢や他の債務状況なども考慮されますし、上限ギリギリまで借りること自体に大きなリスクがあります。この点については次で詳しく見ていきましょう。
「借りられる額」と「返せる額」は違う!無理なく返済できる借入ラインとは
住宅ローンを検討する際に重要なのは、「自分はいくらまで借りられるか」より「いくらまでなら無理なく返せるか」です。前述の通り年収1000万円なら審査上は8000万円近くまで借りられる可能性がありますが、借入可能額=適正額ではありません。金融機関がOKを出す金額と、家計が無理なく返済できる金額には開きがあることに注意しましょう。
では、年収1000万円世帯にとって無理なく返済できる住宅ローン額とはどの程度でしょうか。一般に「住宅ローンは年収の◯倍まで」という目安については諸説ありますが、銀行の融資上限が年収の約8倍程度であるのに対し、無理なく返済できる適正額は年収の5~6倍程度といわれます。年収1000万円なら理論上の借入上限は約8000万円、適正な借入額の目安は5000万~6000万円程度という計算になります。実際、住宅金融支援機構の調査でも多くの借り手は返済負担率20%前後(年収倍率5倍前後)に収めており、安全策として年収の5~6倍以内にとどめる人が多いのが現状です。
別の見方をすると、家計を健全に保つため返済負担率は「20~25%以内」に抑えるのがよいとされています。これは年収1000万円の場合、年間返済額で200~250万円(=月額約13万~16.5万円)が安全ラインということです。実際、世帯年収1000万円(都内在住・40歳未満・扶養家族なし)のケースでは、手取り年収約790万円・月収約66万円と仮定すると、毎月の返済額が13.2万円で負担率20%、16.5万円で25%に相当します。この範囲に収まれば家計への圧迫は比較的小さく、逆に30%(月約20万円)を超えると返済に行き詰まるリスクが高まると指摘されています。
以上を踏まえると、年収1000万円でも毎月の返済額が15万円前後に収まる借入額(およそ6000万円程度まで)が無理のないラインと考えられます。例えばフラット35など全期間固定金利1.5%・35年返済で試算すると、5000万円の借入で毎月約15.3万円、6000万円なら約18.4万円の返済となります(※ボーナス返済なし)。6000万円でも金利次第では月18万円程度になりますが、収入とのバランスから見てギリギリ25%前後です。8000万円を借りれば月々の返済は約24.5万円(年約294万円)にもなり、手取りの約4割近くがローンに消える計算となります【16†】。これでは日々の生活や貯蓄に大きな支障が出かねません。銀行から「借りられる」と提示された金額いっぱいまで借りるのではなく、将来を見越してゆとりを持てる返済額にとどめることが安全策と言えるでしょう。
📌ポイント:返済負担率と年収倍率の目安
- 金融機関の審査上限目安 … 年収の約8倍(返済負担率35%前後)
- 無理なく返済できる額 … 年収の5~6倍(返済負担率20~25%以内)
- 年収1000万円なら 借入目安5000万~6000万円、月返済13万~16万円程度が一つの基準
- 借入上限ギリギリ(~8000万円以上)に挑むのは危険。将来の収入減や金利上昇に対応できない恐れがある
3. 住宅ローンが家計に与える影響:教育費・老後資金とのバランス
住宅ローンの返済額が増えれば、その分、生活費や他の目的に回せるお金が削られることになります。特に注意したいのは、将来の教育資金や老後資金への影響です。マイホーム取得は人生の大きなイベントですが、それ以外にも子どもの進学や老後生活など、将来まとまった支出を要するイベントが控えています。住宅ローンにいくら回せるかを考える際は、こうしたライフステージごとの出費とのバランスも考慮しなくてはなりません。
例えば、住宅ローン返済のために今までの家賃より毎月数万円多く支払う場合、その差額は生活費の中から捻出する必要があります。無理に切り詰める生活が続くと、「家を買ったせいで生活が苦しい…ローンなんて組まなければよかった」という本末転倒な事態にもなりかねません。マイホームの喜びと引き換えに日々の暮らしがギリギリになるのは避けたいところです。
また、住宅ローン返済期間中にお子さんが成長すれば、中学・高校・大学と教育費のピークが確実に訪れます。特に大学進学時には入学金や授業料でまとまった出費が必要です。そのため住宅ローンを検討する段階で、将来の教育費も見越しておくことが重要です。一般に子ども1人を大学卒業まで育てるにはトータルで約1000万~2000万円の養育費がかかるとも言われます。お子さんが2人いれば単純計算で倍の2000万~4000万円が必要です。住宅ローンの負担が大きすぎると、その教育費を捻出するために貯金を取り崩したり、場合によっては教育ローンに頼らざるを得なくなる恐れもあります。
さらに見落としがちなのが老後資金の準備です。公的年金だけでは夫婦の老後30年間で約2000万円不足するとの試算が社会問題になったように、老後の備えには相当の蓄えが必要です。現役時代に住宅ローン返済ばかりで精一杯になり貯蓄ができないと、定年後に悠々自適どころか生活が立ち行かなくなる危険もあります。総務省の家計調査によれば、夫65歳以上・妻60歳以上の無職夫婦世帯では毎月約5万円の赤字が発生し、20年で約1300万円、30年で約2000万円の貯蓄取り崩しが必要になるとの報告もあります。こうした老後の資金不足に備えるためにも、現役のうちから計画的に貯蓄や資産形成をしておく必要があります。
共働き世帯の場合、住宅ローンを夫婦合算の収入で組めば借入可能額は増やせます。しかしその分、どちらか一方の収入が減った場合のリスクも高まります。例えば出産・育児で一時的に妻が退職したり、介護や病気で働けなくなったりすると、当初見込んでいた世帯収入は得られなくなります。特に「夫600万+妻400万で年収1000万」のように2人で高収入を実現しているケースでは注意が必要です。借入時の収入がずっと続く保証はありませんので、将来の収入減少も織り込んだ上で返済計画を立てることが大切です。実際、ファイナンシャルプランナーの相談事例でも、年収700万円台の50代夫婦が住宅ローンと子ども3人の教育費・老後資金に追われて「貯蓄ゼロ」の危機に陥った例が報告されています。このケースではローン完済が夫70歳という長期計画で、繰上返済や老後準備の必要性が指摘されていました。住宅ローン・教育費・老後資金という“三大支出”を同時並行で準備するのは非常に大変です。収入に見合ったバランスで各支出にお金を配分しないと、どれかがおろそかになり家計が破綻しかねません。
以上のように、住宅ローンの返済額を決める際は「家を買った後、自分たちの人生にどんな支出が控えているか」を冷静に洗い出し、必要な貯蓄との両立が可能なラインを見極めることが重要です。せっかく念願のマイホームを手に入れても、そのせいで教育資金が不足したり老後が不安になったりしては本末転倒です。住宅ローンと他のライフイベント支出とのバランスを十分に考慮した返済計画を立てましょう。
4. 無理のない住宅ローン返済のためのポイント
安全に住宅ローンを返済していくため、以下のポイントにも留意しましょう。
- 頭金をできるだけ用意する(自己資金の投入)
購入価格に対して頭金を10~20%程度入れるのが一つの目安です。頭金を増やせばその分借入額が減り、毎月返済額にもゆとりが生まれます。多くの金融機関は物件価格の80%程度を融資上限としていますので、頭金2割以上あるとローン審査上も有利になります。実際、住宅金融支援機構の調査では注文住宅購入者の平均頭金比率は17.3%と報告されており、皆さん目安範囲内の自己資金を準備していることが分かります。無理のない返済のためにも、可能な範囲でまとまった自己資金を計画的に貯めておきましょう。 - ボーナス返済を過信しない
ボーナス時に追加返済を組み込めば毎月の負担は軽くできますが、ボーナスありきの計画は危険です。ボーナスは景気や業績によって減額・カットされる可能性があり、「必ず出る」とは限りません。実際、ある調査ではボーナス払いに不安を感じる人が8割以上に上るという結果も出ています。ボーナス払い自体は上手に利用すれば返済負担軽減に役立ちますが、最初から当てにしすぎないことが重要です。特にボーナス頼みで高額ローンを組んでしまうと、万一支給が減った際に一気に返済が苦しくなります。ボーナスは「出ればラッキー、出なくても大丈夫」くらいの位置づけにとどめ、安定した月収の範囲で無理なく返済できる計画を立てましょう。 - 金利タイプの選択:固定金利と変動金利のメリット・デメリット
住宅ローンの金利タイプは大きく分けて変動金利型と固定金利型があります。それぞれ返済額の推移やリスクが異なるため、特徴を理解して選びましょう。現在の日本では、変動金利なら年0.5%前後、全期間固定金利(フラット35など)なら年1%台が一つの目安です。変動金利を選べば当初の返済額は低く抑えられ、例えば借入5000万円で年0.5%なら毎月約12~13万円程度と負担軽減できます。しかしその名の通り将来金利が上昇すれば返済額も増えるリスクを抱えます。一方、固定金利は当初の金利が高めなので変動型より毎月の返済額は多くなりますが、その代わり完済まで金利が一定のため将来にわたって返済額が変わらない安心感があります。例えば同じ5000万円の借入でも、全期間固定1.5%・35年なら毎月約15.3万円(総返済約6429万円)と、変動0.5%時より月3万円ほど高いですが、その後金利が上がっても返済額はずっと約15万円で安定します。どちらにも一長一短がありますので、将来の金利変動リスクにどう備えるかという観点で検討しましょう。金利上昇局面が不安な方は固定金利や固定期間選択型でリスクヘッジし、低金利の恩恵を優先したい方は変動型を選びつつ繰上返済などで早期完済を目指すのも有効です。いずれにせよ、金利タイプごとのシミュレーションを行い、無理のない返済額の範囲内で選択することが大切です。 - 返済期間と完済時期の見通し
住宅ローンの返済期間は最長35年が一般的ですが、できれば定年(リタイア)時までに完済できるよう計画するのが望ましいです。例えば30歳で35年ローンを組めば完済時65歳となり、ギリギリ現役中に払い終えられます。しかし40歳で35年ローンを組むと完済は75歳となり、定年後も長く返済が続いてしまいます。定年後は年収1000万円のような高収入は期待しにくく、公的年金と退職金・貯蓄が頼りになります。老後の収入減を考えると、リタイア後にローンを残さないのが安心です。どうしても完済時期が高齢にかかる場合は、繰上返済で期間短縮する計画を立てたり、退職金で一括返済するシナリオも用意しておきましょう。最近では完済時年齢80歳までOKという金融機関もありますが、これはあくまで審査上の上限であって、現実的には60~65歳までの完済を目指すのが安全といえます。 - 共働きの収入合算・ペアローンの活用(慎重に)
年収1000万円の世帯では、夫婦2人の収入を合算して住宅ローンを組むケースも多いでしょう。方法としては、主債務者の収入に配偶者の収入を合算する連帯保証型や連帯債務型、あるいは夫婦それぞれが別々にローン契約するペアローンなどがあります。これらを活用すれば一人では借りられない高額のローンも組めるメリットがありますし、ペアローンなら夫婦それぞれが住宅ローン減税の適用を受けられる利点もあります。ただし、その反面デメリットも把握しておきましょう。ペアローンではローンが2本になる分、事務手数料や保証料など諸費用も倍かかります。また上述のように、どちらか一方が退職・休職した場合にもう片方だけで返済を続けられるかというリスクもあります。配偶者の産休・育休や転職、病気などによる収入減少リスクも踏まえ、無理のない借入額に留めることが大切です。共働きで収入合算する場合でも、「2人の収入がフルにある今なら返せるけど、将来どちらか一人分になったら厳しい」という額は避け、片方の収入に依存しすぎない返済計画を心掛けましょう。 - ライフプランの変化に備えた余裕資金の確保
上記とも関連しますが、住宅購入後は何が起きるか分かりません。急な病気やケガで働けなくなる、リストラや収入減、金利上昇、災害での出費増など、さまざまなリスクが考えられます。住宅ローンを抱えているときこそ、万一に備える緊急予備資金を確保しておくことが大切です。ローン契約時に団体信用生命保険(団信)に加入すれば契約者の死亡や高度障害時に残債がゼロになりますが、病気や失業による一時的な収入減はカバーされません。失業手当や各種公的制度もありますが、当てにしすぎず生活費数ヶ月~半年分程度の貯蓄は手元に置いておきたいところです。また、早めに学資保険や積立NISA・iDeCoなどで教育費・老後資金の準備を始めておくのも有効でしょう。住宅ローン返済と並行して将来の資金作りもできる範囲で行い、家計全体の安定を図ることが「ローン破綻」を防ぐポイントです。
以上の点を実践すれば、年収1000万円のご家庭でも無理なく安全に住宅ローンを返済していける計画が立てられるはずです。
5. 都市部と郊外で異なる住宅価格:地域に応じた予算設定も重要
同じ年収1000万円でも、住むエリアによって適切な住宅予算は大きく変わります。都市部、とりわけ首都圏や大都市圏の住宅価格は地方に比べて非常に高く、希望する物件によっては年収1000万円でも借入限度ギリギリまでローンを組まないと手が届かないケースがあります。一方、郊外や地方都市では同じ予算でより広い・良質な住宅を購入できる可能性があります。地域の相場を踏まえて、背伸びしすぎない予算設定を心がけましょう。
例えば、東京都心部の住宅価格は近年急騰しており、東京23区の新築マンション平均価格は2025年時点でついに1億3000万円超に達しています。まさに「億ション」が当たり前の水準となっており、専有面積70㎡程度のマンションでも1億円前後という物件が珍しくありません。これに対し、東京都郊外(多摩地域)や周辺の神奈川県・埼玉県などでは平均価格は6000万~7000万円台に収まっています。例えば2025年上半期のデータでは、東京都下(多摩地域)の新築マンション平均が約6835万円、神奈川県約6957万円、埼玉県約6551万円と報告されています。千葉県に至っては平均5738万円と、23区の半分程度の水準です。戸建て住宅についても傾向は似ており、東京23区内で土地付き一戸建てを買おうとすれば1億円前後を見込むケースが多い一方、郊外なら4000万~6000万円台でも選択肢が豊富という差があります。
このように、都市部では年収1000万円でも「身の丈以上」の物件が多く存在することを認識しましょう。仮に1億円の物件を購入するとなれば頭金次第ですが8000万円以上のローンになる可能性が高く、前述のように毎月30万円近い返済が延々と続く計算です。これはご家庭の収支を相当逼迫させる負担であり、高収入とはいえリスクが大きいと言わざるを得ません。一方、郊外であれば6000万円台までの予算で選べる物件が多く、ローンも無理なく返せる範囲に収まりやすくなります。実際、首都圏マンションの中央値(価格の真ん中の値)は約6900万円とのデータもあり、多くの購入者は億単位ではなく7000万円以下の価格帯で妥協点を見出していることがうかがえます。
もちろん、立地の良さや利便性、資産価値を重視して都心の高額物件を目指す選択もあるでしょう。ただ、その場合はなお一層慎重な資金計画が求められます。「せっかく年収1000万円あるのだから都内で豪邸を…」と無理をするより、郊外も視野に入れて現実的な予算で満足できる家を探す方が、結果的に生活のゆとりと幸福度は高くなるかもしれません。地域ごとの住宅相場を調べ、自分たちの収入で無理なく買えるエリア・物件を検討することも大切です。
6. 購入価格別:5000万円~1億円のローン返済額シミュレーション
最後に、参考までにさまざまな物件価格における住宅ローンの毎月返済額を試算してみましょう。条件は一例として「借入期間35年・全期間固定金利1.5%・元利均等・ボーナス返済なし」とします(※実際の金利や条件により返済額は変動します)。頭金ゼロで購入価格=借入額と仮定した場合のシミュレーションです。
- 購入価格5000万円(借入5000万円)・・・毎月返済額 約15万3,000円(年間約183万円)。総返済額は約6429万円(支払利息約1429万円)となります。手取り月収60万円の家庭では月15.3万円の返済は負担率約25%で、安全ラインぎりぎりのイメージです。
- 購入価格6000万円(借入6000万円)・・・毎月返済額 約18万4,000円(年間約221万円)。総返済額は約7716万円(利息約1716万円)となります【18†】。手取り60万円に対し月18.4万円の負担は約30%に達し、家計への圧迫感が増します。
- 購入価格8000万円(借入8000万円)・・・毎月返済額 約24万5,000円(年間約294万円)。総返済額は約1億0288万円(利息約2288万円)に上ります【18†】。月24.5万円の返済は手取りの約40%近くに相当し、かなり無理をしている状態です。教育費や貯蓄に回す余力がほとんどなくなる危険ゾーンと言えます。
- 購入価格1億円(借入1億円)・・・毎月返済額 約30万6,000円(年間約367万円)。総返済額は約1億2859万円(利息約2859万円)にもなります【18†】。月30万円超の返済は手取り60万円の約半分を占める計算で、通常の家計では維持困難なレベルです。実際問題、年収1000万円世帯がこの規模のローンを組むのは非常にリスクが高いでしょう。
上記はあくまで金利1.5%での試算ですが、仮に超低金利の変動型(金利0.5%前後)を利用した場合、同じ借入額でも月々の返済額はもう少し抑えられます。例えば借入1億円でも金利0.5%なら毎月約26万円程度の返済で済みます【17†】。しかし、変動金利は将来上昇すれば返済額も増える点に注意が必要です。現在のような低金利が35年続く保証はなく、途中で金利が1~2%上がれば月々数万円単位で返済額が膨らみます。したがって「当初の返済負担が軽いから大丈夫」と安易に高額ローンを組むのは危険です。上記シミュレーションを目安に、ご自身の許容範囲を冷静に見極めてください。
まとめ:収入に見合った予算設定で「大丈夫な」住宅ローンに
年収1000万円というと高収入ではありますが、住宅購入となれば慎重な計画が欠かせません。私たちが肝に銘じるべきは、借りられる額と返せる額は違うというシンプルな事実です。金融機関の審査に通るローン額が必ずしも家計にとって安全な額とは限りません。むしろ上限ギリギリまで借りてしまうと、日々の生活に余裕がなくなり、少しの想定外で家計が立ち行かなくなるリスクが高まります。年収1000万円の方でも、無理なく返済できる適正ラインは借入5000万~6000万円前後であり、その範囲で購入プランを組むのが堅実と言えるでしょう。
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