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住宅ローン破綻率の現状と原因・対策

執筆者

住宅購入診断士
住宅FPエキスパート
2級FP技能士

お客様の為に何ができるか『全集中』!!
ゼネラルマネージャー
松井 新吾 が執筆しました。

住宅ローンは、多くの方にとって人生最大の借入であり、その返済は長期間にわたります。しかし、予期せぬ事態や計画の甘さから返済が困難となり、いわゆる「住宅ローン破綻」に陥るケースも少なくありません。本記事では、住宅ローン破綻の現状、主な原因、そしてその対策について詳しく解説します。
住宅金融支援機構の「統合報告書2023」によれば、2022年度のリスク管理債権の割合は約3.05%と報告されています。
これは、住宅ローンを利用している100人のうち約3人が返済に困難を抱えていることを示しており、2025年に入り再び増加の兆しも見られます。

【住宅ローン破綻の主な原因】

1. 収入の減少

住宅ローン破綻の最も一般的な原因は、収入の減少です。これは、失業、転職、病気や怪我など、さまざまな要因によって引き起こされます。例えば、勤務先の業績不振によるリストラや、個人事業主や中小企業経営者の場合、事業の不振や倒産によって収入が大幅に減少することがあります。また、病気や怪我で長期間働けなくなると、その間の収入が途絶え、ローンの返済が困難になることもあります。さらに、昨今の新型コロナウイルスの影響で、予期せぬ収入減に直面する人々が増加しています。このような状況では、当初の返済計画が崩れ、結果として返済が滞るリスクが高まります。

2. 無理な返済計画

現在の収入や支出のみを基に返済計画を立て、将来のライフイベントや経済状況の変化を十分に考慮しないことも、破綻の大きな原因となります。例えば、子供の教育費、親の介護、定年退職など、将来的に大きな支出が予想されるイベントを見落とすと、後々返済が厳しくなる可能性があります。また、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が高すぎると、生活費や予備費に充てる資金が不足し、予期せぬ支出に対応できなくなるリスクがあります。このような無理のある返済計画は、長期的な返済能力を超える負担を強いることになり、結果として破綻に至ることがあります。

3. 金利の上昇

変動金利型のローンを選択している場合、経済状況の変化により金利が上昇すると、月々の返済額が増加するリスクがあります。例えば、インフレの進行や政策金利の引き上げなどが原因で、市場金利が上昇すると、それに伴い住宅ローンの金利も上昇します。これにより、当初は無理のない返済計画であったとしても、金利上昇によって返済額が増加し、家計を圧迫することになります。特に、金利上昇リスクを十分に考慮せずに変動金利型ローンを選択した場合、このような状況に陥る可能性が高まります。

4. 家族構成の変化

家族構成や収入構造の変化も、住宅ローン返済に大きな影響を及ぼします。例えば、離婚により世帯収入が一人分になったり、配偶者の収入減少や失業、病気などで家計全体の収入が減少することがあります。また、子供の誕生や親族の介護など、新たな支出が発生することで、当初の返済計画が崩れることも考えられます。さらに、家族の死亡や重大な病気など、予期せぬ事態が発生すると、精神的な負担とともに経済的な負担も増加し、返済が困難になることがあります。このように、家族構成の変化は収入と支出のバランスを大きく変動させ、結果として住宅ローンの返済に支障をきたす可能性があります。

以上のような要因が重なることで、住宅ローンの返済が困難になり、最悪の場合、マイホームを手放さざるを得ない状況に陥ることもあります。そのため、住宅ローンを組む際には、これらのリスクを十分に考慮し、慎重な計画を立てることが重要です。

【住宅ローン破綻を防ぐための対策】

1. 将来を見据えた返済計画の策定

住宅ローンは最長で35年という長期間にわたるため、現在の収入や支出だけでなく、将来のライフイベントや経済状況の変化を考慮したシミュレーションを行うことが不可欠です。例えば、子供の進学や独立、親の介護、自身の定年退職など、将来的に大きな支出や収入の変動が予想されるイベントをリストアップし、それらが家計に与える影響を具体的にシミュレーションします。さらに、金利の変動や物価の上昇など、経済環境の変化も考慮に入れることで、より現実的で無理のない返済計画を立てることができます。このような綿密な計画を立てることで、予期せぬ事態にも柔軟に対応でき、住宅ローン破綻のリスクを大幅に低減できます。

2. 固定金利の検討

変動金利型のローンは、金利が低い時期にはメリットがありますが、将来的な金利上昇のリスクを伴います。一方、固定金利型のローンを選択することで、借入期間中の金利を一定に保つことができ、毎月の返済額が変わらないため、長期的な家計の見通しが立てやすくなります。特に、将来的な金利上昇が予想される経済状況や、自身の収入が大幅に増加する見込みがない場合には、固定金利型のローンを検討することが賢明です。ただし、固定金利型は変動金利型に比べて初期の金利が高めに設定されていることが多いため、総返済額や月々の返済額を比較検討し、自身の家計状況やリスク許容度に応じて最適な選択をすることが重要です。

3. ボーナス返済や退職金に頼らない

ボーナスや退職金を前提とした返済計画は、一見すると月々の返済負担を軽減できるように思えますが、これらの収入は企業の業績や景気動向、個人のキャリアプランなどによって変動するため、確実性に欠けます。例えば、景気の悪化や業績不振によりボーナスが減額されたり、最悪の場合支給されないことも考えられます。また、転職や早期退職などにより、退職金の額が当初の予想よりも少なくなる可能性もあります。そのため、基本的な返済は毎月の安定した収入内で賄うように計画し、ボーナスや退職金は繰り上げ返済や予備費として活用するなど、柔軟に対応できる計画を立てることが重要です。

4. 収入に余裕を持った借入額の設定

金融機関が提示する借入可能額の上限まで借りることは、一見すると資金計画上の余裕を感じるかもしれませんが、実際には返済負担が大きくなり、家計を圧迫するリスクがあります。自身の生活費や将来の支出、さらには予期せぬ出費(医療費や修繕費など)を考慮し、余裕を持った借入額を設定することが大切です。具体的には、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)を適切な範囲内に抑えることが推奨されます。一般的には、返済負担率は25%から30%以内が目安とされていますが、個々の家計状況や将来の見通しに応じて慎重に判断することが重要です。

5. 早期相談と対策

住宅ローンの返済が難しいと感じた場合、問題が深刻化する前に早めに金融機関や専門家に相談することが重要です。金融機関は、返済条件の見直しや返済期間の延長、一時的な返済猶予など、借り手の状況に応じた柔軟な対応策を提供している場合があります。また、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することで、家計の見直しや適切なアドバイスを受けることができ、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。早期に相談することで、選択肢が広がり、より効果的な対策を講じることが可能となります。

住宅ローンは長期間にわたる大きな負担であり、その返済を安定して続けるためには、慎重な計画と早めの対策が不可欠です。将来のリスクを見据え、無理のない返済計画を立てることで、安心してマイホーム生活を続けることができます。

以上が、住宅ローン破綻率の現状と原因・対策となります。住宅ローンの返済に関する対策は各家庭の状況によって異なりますので、ぜひ弊社へご相談ください。お客様の状況に応じた無理のない返済計画の策定や、金利リスクへの対応策など、最適なアドバイスを提供いたします。お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。

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ゼネラルマネージャー 松井 新吾

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